こくおうさまのすきなひと
「一目惚れだった。ミネアを初めて見た時、雷にでも打たれたような感覚だった。それからもミネアを近くにしては、心臓が張り裂けそうなくらい激しく動き、色々な衝動に駆られるほどに、ミネアが好きで好きでたまらなくなった。でも、ミネアの気持ちが分からない。嫌われたくない、その一心で気遣いのひとつもためらうほどに何も出来なくなっていたんだ。その行動が逆にミネアを不安にさせてしまった一因になっていただろう。本当に申し訳なく思う。でもそれは……」
国王様は、途中で話に詰まる。
多分私が涙をぼろぼろと流して、号泣に近い形で泣いてしまっていたからだろう。
どうしようもなく嬉しくて、その時の国王様の苦しい想いが痛いくらいに伝わって。
自然と涙が溢れて、どんどんと流れていく。
そんな初めから、私の事を好きでいてくれたなんて。
ずっとずっと、私の事を愛してくれていたなんて。
あの時も、どの時も。
国王様は常に私を想ってくれていた。
なんて幸せ者なのでしょう。
国王様の愛に包まれて、それだけで私は生きていけるわ……。
「私がそれだけ、アルス様に愛されていたなんて知りませんでした。知らずに傷付くような事ばかりして……。それでもアルス様は変わらずに愛してくれている。私はとても幸せです」
「いいんだ、それは今までの行いから生み出されたもの。私が辛い思いをするのは罰であると思っていたから。もしかしたらこれからもあるかもしれない。それも全て罰であると受け止めていくさ」
「ではアルス様、今後は私も共に……。貴方の罪は私の罪、共に受け入れる。それが夫婦ですから」