こくおうさまのすきなひと
9.愛して、愛される時
「……おはようございます、国王」
「……うむ」
執務室に入るなり、ロバートが薄っすらと笑みを浮かべて挨拶をする。
私は少し恥ずかしく思いながら、敢えていつも通りの返事をする。
昨晩の事に関しては、言わずともどんな結果になっていたか、薄々分かっているのだろう。
心なしか城の中も明るくなったように思う。
それは私が単にミネアと気持ちが通じ合えたという喜びから、そう思うだけかもしれないが。
ミネアはまだ寝台の中で横になっている。
病み上がりもさることながら、結ばれた後の身体への負担は相当なものであるから、今日一日はゆっくりと休ませてやるつもりだ。
アレイズはあの後ロバートと何故かロアまで参戦し、あの場所で懇々と諭され、渋々であるが納得したらしい。
言わば姉離れ出来ていない弟の暴走。
しかし、それだけミネアは愛されている。
いつまたアレイズが同じような事を言ってくるか分からない。
不安に思わせない為にも、ミネアを幸せにしなければならないのだと思った。