こくおうさまのすきなひと
そしてティアからも、朝起きて早々に謝られた。
あれから冷静になり、自分の仕出かした事の重大さに気付いて、夜も寝られなかったらしい。
顔面蒼白、思い詰めた姿で私に頭を下げた。
しかし、ティアをあそこまで言わせてしまったのも、全てはミネアを思っての事。
そうさせてしまった私が悪い。
『ティア、私は何も気にしていない。むしろ申し訳ないと思っている。だからこれからもミネアの傍にいてやってくれ』
『でも、私は密かにミネア王妃を裏切るような事をして……!』
『どれも全てミネアを思っての事だろう?大丈夫、ミネアは分かってくれる。責める者など誰もいないさ』
『国王様……!』
『ミネアは私の手で幸せにする。ティアはそんなミネアを近くで見ていて欲しいのだ。……ずっと』
ティアは憚らず声を上げて泣いた。
主人の為に、顧みず行動する。
それが後に間違ったものだったとしても、全ては主人の為に行った事。
……素晴らしい侍女ではないか。
過ちは誰にでもある。
大切なのは、それから。
ティアの気持ちを、ミネアはよく分かっている。
……だから、大丈夫だ。