こくおうさまのすきなひと
ミネアの弟アレイズは、去年結婚と共にアーネストの国王となった。


相手は我が国の公爵家の摘女。

馴れ初めは私たちの結婚式で、らしい。


最後まで私らの結婚に納得しないアレイズであったが、私側の招待で式に参加していたその公爵令嬢を一目見て、恋に落ちてしまったそうだ。

それからというもの、私たちの結婚に関して一切なにも言わなくなった。

それどころか私に、恋の相談するまでの仲になってしまっていた。


『アルス兄様、一目惚れというのは本当に存在するものなのですね。彼女を考えただけで胸が熱くなってしまう……』

『そ、そうか。私の気持ちが分かってくれたか。……しかし物凄い変わりようだな、アレイズ。少し前までは私に攻撃的であったというのに』

『もう忘れて下さい、兄様。俺は間違えていたと分かりました。彼女を一目見て知ってしまったんですよ、真実の愛を。彼女のためなら私は命を落とすのも惜しまない。愛はそれまでの考えもすべて変えてしまう力があるのですね』

『お……、おう。そうだな』


……なんてやり取りをしていたのは、ここだけの話だ。


侯爵家には私の方から話をつけ、アレイズは自分をよく知って貰ってからと、手紙のやり取りから始め、少しずつ愛を育み、……そして今に至る。

あちらでも仲のいい夫婦であると有名なそうだ。

そろそろ子供も生まれるという。


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