こくおうさまのすきなひと
私はロアのために、身分の差で難色を示す周りの連中をなんとか説き伏せ、(もちろんロアも私と共に説得をしていたが)、なんとかここまで漕ぎつけた。

同じように話を聞いたミネアも、倒れてしまいそうなほどに驚いてはいたが、ティアの幸せに大変喜んでいた。

ティアはそれまでずっと悩んでいたようだった。

ミネアと共に全てを捨て、年老い逝くまでミネアの世話をする覚悟でこの国へやって来た身。

ロアの妻となれば、もうミネアの世話をすることは出来ない。

ましてや身分の差もかなりのものがある。

本来ならば結婚など、ロアが身分を捨て無い限りは出来やしない。

そしてティアの方が年上だ。


ロアの積極的な求愛に戸惑いながらも徐々に惹かれていく気持ちと、簡単には受け入れられないという現実。

それに挟まれ悩み苦しむのは仕方のないことだろう。

しかし最終的にはロアの押しに負け、ティアはロアの思いを受け取った。

その思いを受け入れるには、相当の覚悟があったはずだ。

だからミネアに真実を告げた時、ティアは悲痛な表情を浮かべ号泣していた。


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