こくおうさまのすきなひと
扉の前には既に着替えたミネアが立っていて、私が来るのを待っていた。


その姿にごくりと息を飲む。


白のアンダードレスの上に、刺繍の施されたパールピンクのドレス。

腰元の装飾がアクセントになって、より華やかに見える。


纏められていた髪の毛も下ろされ、真っ直ぐなブラウンの髪が、彼女がこちらを振り向くと小さく揺れた。

「国王様……」

「う、うむ。よく、似合っている」


本当はもっと気の利いた言葉を言いたかったのだが、やけに緊張して人並みな言葉しか掛けることが出来なかった。


似合っているどころか、美しすぎて言葉も出ない。

この姿を周りの男に見られるのが嫌と思うくらいだ。



ミネアの横に立つと、そっと私の腕に軽く手を絡ませる。

ミネアから仄かに香る、花のような甘い香が私の嗅覚を刺激する。


一気に心臓が激しく脈打ち始めた。

その音が周りに聞こえるのではないかと思うくらいに、激しく動いている。


なんてことだ。

たったこれしきのことで、ここまで私の心臓が激しくなるとは……。


チラリとミネアを見る。


ミネアも緊張しているのか、少し息が早いように感じた。

呼吸に合わせて長い睫毛が上下に律動している。


しかし、綺麗だ。
出来物ひとつない、透き通るような白い肌。

いつまで見ていても飽きないほどだ。


本当に、この女が私の妻になるというのか?

夢ではないよな?
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