こくおうさまのすきなひと
また、レイモンドの祈りの言葉が響く。

普段の礼拝ではさほど真剣に参加していなかった私だが、この時ばかりはしっかりと真面目に神へと祈りを捧げた。

もちろん、隣にいるミネアと仲睦まじく夫婦として過ごせるように。

その前に、ミネアが私に心開いてくれるように。

出来ればお互い同じ心でいたいと、そうなれるようにと、神に願った。


ミネアも同じような願いを捧げてくれただろうか?

聞くことが出来ないから少し不安だが、願わくばそうであって欲しいと思う。


祈りを捧げたあと、レイモンドから王冠を授かる。

それをミネアの頭に乗せ、儀式は終了となった。



簡易的な儀式であるから、指輪の交換や誓いのくちづけなどはない。

それは半年後に行われる正式な婚姻の儀式で行われる。


私としては、誓いのくちづけがなくて良かったと思う。

今の私ならばきっとミネアにくちづけをしたら、冷静でいられなかっただろうから。


正式な儀式までは、あと半年。

それまでにミネアと心通じ、どんな時でも気兼ねなく、くちづけが出来るまでの仲になれたらいいと切に思う。



その為には、私が努力しなければ。


まず、アレだ。

とりあえず、この触れられると記憶がぶっ飛んでしまうくらい舞い上がってしまう、この状態をなんとか脱さねば、だな。


頑張れ自分。

……ああ、頑張れ。
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