こくおうさまのすきなひと
午前中は公務に追われ、気が付けばもう昼を過ぎていた。
ミネアは先に昼食を摂り、午後は城の案内で部屋にはいないのだと言う。
会っても心臓が激しく動くだけで落ち着かず、碌に話も出来ないのだが、それでも少しは顔が見たかったと落ち込んだ。
ひとり軽めの昼食を摂り、軽くハーブティーを飲みながら休憩をする。
そしていつもの、ロバートの固い話が始まった。
厚い本を読みながら、ロバートの解説に耳を傾ける。
しかしどうしても今日の夜の事が気になってしまい、内容が頭に入らないのは言わずもがな、今日ばかりは眠気など、これっぽっちも感じなかった。
――あの広い部屋に、私とミネアふたりきり。
部屋は蝋燭のわずかな明かりと、香油の甘い香りが漂う。
ミネアは少し潤んだ瞳で私を見つめ、その頬は赤く染まっていた。
滑らかな柔肌に、シルクのシーツが絡まるように纏わりついていて、それがやけに艶めかしい。
ミネアは少し震えた声で私の名を呼び、そして私の首に腕を回す。
私もまたミネアの身体に腕を回し、自身の身体に引き寄せると、全ての想いを込めてミネアに告げるのだ。
『ミネア、愛して――……』