こくおうさまのすきなひと
「……く王!聞いておりますか!?」



「――はっ!!」



ロバートの怒号で、我に返った。


しまった、なんて妄想していたんだ私は!



目の前のロバートは、目を吊り上がらせて私を見下ろしている。


私はロバートのその鬼のような形相と、自身の無意識に想像した内容に驚いてしまって、口を半分開けたまま固まってしまった。



「随分とニヤけた顔で呆けていましたけど、何を考えていたんですか!?今大事なところをお話しているのですよ!?それなのに国王は!!」


「す、すまない。ちょっと……」


「もしかして国王!まさか、今日の……」


「な、ないない!ないぞ!決して今日の初夜の事を考えていたなんてことは!」




「……考えてましたね」
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