こくおうさまのすきなひと

思い悩む王女

***


「はあ……」


窓の外の景色を眺めながら、ため息を付いた。

どうしても、ため息が止まらない。


最初から分かっていた事だった。

夫婦になると言う事は、必ず通らなければいけない道という事も。


本当は夫婦の部屋で、国王様と寝台を共にしなければいけなかったのを、国王様はお酒で潰れてしまって共にしなかったけれど、でも、今日は違う。


今日からは、その部屋に国王様が来る。


毎日寝台を共にし、子を成すための行為を行わなければならない。


夫婦としての契りとしても、必要な事。


そんな事は嫌というほど理解している。


だけど、そこに愛がないのに身体を重ねるのかと思うと、とても気が重い。


別に、国王様が嫌いな訳じゃない。

嫌いな訳じゃないんだけれど……。


国王様は、私の事をどう思っているのかしら?


会ってまだ2日だもの、きっと私と同じような気持ちよね……?



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