こくおうさまのすきなひと
……ううん。
もしかしたら、とても嫌だと思っているかもしれない。
だって、目が合ったかと思えばすぐ逸らすし、話す言葉だって少ないし。
昨日もあれだけお酒を飲んで潰れてしまったのだって、初夜を迎えるのが嫌で無理矢理飲んだのかもしれない。
仕方ないわよね。
絶世の美女って訳でもないし、顔は人並み、秀でるものは何もないんだもの。
「はあ……」
そんな事を考えたら、ますます気が重くなった。
「夜なんて、来なきゃいいのに……」
傾く陽を細目で見つめ、呟いた。
落ちることなく日が照らしていれば、夜は来ないのに。
このまま時が止まってしまえばいい。
けれど私の思いは虚しく、ゆっくりと陽は傾いていく。
そもそも、私の国がもっと大きくて強ければ、こんな事にはならなかった。
私もそうだし、何より国王様もこんな思いをする必要なんてなかったのよね。