こくおうさまのすきなひと

「ごちそうさまでした」


半分ほど何とか身体に入れた所で、フォークとナイフを置いた。

国王様は私の前の皿に残った料理を見て、口を開く。


「もういいのか?あまり食べていないように見えるが」

「お昼に沢山食べてしまったようで、あまりお腹が空いていなくて。残すのはとても心苦しいのですが」


食欲がない理由なんて絶対に言えないから、咄嗟に誤魔化す。

国王様は納得したようで、軽く頷いた。


「そうか。……まあ、そういう日もあるな」


「ではミネア王妃。この後の準備もありますから、先に部屋へとお戻り下さい。国王も食事が終わり、準備が出来次第、夫婦の部屋に参りますので」


ロバートの言葉に、国王様が持っていたフォークが皿に落ち、ガシャン、と大きな音を立てた。



その音に軽く驚き、身体を跳ねらせた。


国王様を見ると、眉間に皺を寄せて少し厳しい表情を浮かべて動かない。



「か、かしこまりました。それではアルス様、後程」

「あ、ああ……」



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