こくおうさまのすきなひと
広い部屋に置かれた大きな寝台に腰を掛ける。

私ももちろんの事、ティアもまたそわそわとしていて落ち着かなかった。


それはこれからの事もさることながら、この部屋自体にも原因がある。


派手に装飾された天蓋付きの寝台に、薔薇の彫刻のされた白い家具たち。

国王様が気を遣って誂えてくれたものなのだろうけど、正直どれも私の趣味じゃない。


白で統一されるより、気持ちの安らぐ淡いブルーの方がどちらかと言うと好きだし、寝台も余計な装飾なんて必要な
く、シンプルな方がいい。


現に昨日は寝台に横たわって真っ先に目に入る天蓋裏に、煌びやかな装飾。

美しいものではあるけれど、気は休まらず、ぐっすりと眠る事が出来なかった。


暗くしてしまえば見えないと言うかもしれないけれど、そういう問題ではなくて。


こう、なんていうか。

せめて一日の疲れを癒す場所なのだから、もう少しさり気ないものにして貰いたかったのだけど……。


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