こくおうさまのすきなひと
「王女様、大丈夫ですか?」
ため息を付く私に心配してか、ティアが声を掛ける。
私は精一杯、笑顔を作って応えた。
「ええ、大丈夫よ。教え通りにすればいいのよね」
王族のひとりとして生まれた女にとって、子を成すのは何よりも重要な事。
ある程度の年齢になると、それについて教えられる。
それは恥ずかしい事ではない。
子を成すためには、とても必要な事であると。
そして仲睦まじく過ごしていく上で非常に大事な行為であると、教えてくれる家庭教師は言った。
最初に聞かされた時は、こんな恥ずかしい事をするなんて!と思ったものだけれど、私がこの世に生まれたのも、父と母がその行為をしなければ生まれなかったと言われ、考えを改めた。
結婚をしたら、必ず通らなければいけない道だってのは分かってる。
だからこそ、心の通った相手と過ごしたかった。
初めてだからこそ、なおさら。
考えても、どうしようもないのだけれど。