こくおうさまのすきなひと

「王女様、大丈夫ですか?」

ため息を付く私に心配してか、ティアが声を掛ける。
私は精一杯、笑顔を作って応えた。


「ええ、大丈夫よ。教え通りにすればいいのよね」



王族のひとりとして生まれた女にとって、子を成すのは何よりも重要な事。

ある程度の年齢になると、それについて教えられる。


それは恥ずかしい事ではない。

子を成すためには、とても必要な事であると。


そして仲睦まじく過ごしていく上で非常に大事な行為であると、教えてくれる家庭教師は言った。



最初に聞かされた時は、こんな恥ずかしい事をするなんて!と思ったものだけれど、私がこの世に生まれたのも、父と母がその行為をしなければ生まれなかったと言われ、考えを改めた。


結婚をしたら、必ず通らなければいけない道だってのは分かってる。

だからこそ、心の通った相手と過ごしたかった。


初めてだからこそ、なおさら。


考えても、どうしようもないのだけれど。



< 67 / 220 >

この作品をシェア

pagetop