こくおうさまのすきなひと
……しかし。


「それのどこが気休めの話なんだ?他国情勢の勉強と、何も変わらないじゃないか」


「いやいや、ここからが本題です。で、アーネストの国王から我が国へある話が来たのです。こういった状況故に、ぜひともアーネストと同盟を組み、国を助けて欲しいと」


「……それで?」


「我が国も安定的に鉱物が供給されるのは良い事。さらなる軍力の増強と、それに伴った国民への就業率の増加など利点は沢山ある。そしてアーネストはこの国と同盟を組む証として、第1王女のミネア様を国王の正妻として嫁がせると、そう打診して来たのです」



「へえ、それは……」



……って、ちょっと待て。



国王の、正妻?

それって私の事じゃないか!



「それは、つまり私の妻として、この国へ王女が来るということなのか?」



「ええ、そうです。国王も早く伴侶となる王妃を見つけ子を成さねばいけませんし、幸い身分的にも国の王女ですし問題ない。これ以上のいい話はないかと思われますが」



「私は嫌だぞ。なぜ顔も知らぬ女と結婚しなければならないんだ!いくら国の為とはいえ、愛のない生活などめっぽうごめんだ!」


「愛など戯言を。国王になった以上、巷の男女のような恋愛が出来ると思わない事です。国王になる者はみな、自分の感情よりも利益や利害を考え行動するもの。夢を見るのは諦めるのです」
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