こくおうさまのすきなひと
その時間は、やたらと長く感じられた。
覚悟を決め、目を瞑ったと言うのに、心が折れてしまいそうになる。
手は氷のように冷たい。
足も立ち上がれないほどにがくがくとしている。
国王様の手が置かれた肩の部分だけが、やけに熱を帯びているだけ。
国王様の吐息がかかるものだと思っていた。
私の身体が国王様の身体と共に、後ろの布団に埋まるのだと思っていた。
そして、そこから囚われてしまうものだと……。
けれど、一向に国王様は私の肩に手を置いたまま、動く気配がなかった。
肩の部分がやけに熱く感じるだけだ。
私は恐る恐る目を開けた。
国王様は、じっと私を見つめている。
目鼻立ちの整った顔で、ただじっと。