こくおうさまのすきなひと
その日から、夜は毎回このような感じで、国王様が私に触れる事はなかった。
その距離は一定に保たれ、お互い背を向けたまま、眠るだけ。
もちろん眠る前に、少し話はする。
だけど、それ以上の事は国王様は一切しては来なかった。
拒まれているのだと、形だけの夫婦なのだと、改めて思い知らされる。
歩み寄りたいのに、どうしても壁を作られて身動きが取れない。
どうして?
どうして国王様はそんなに私の事を……?
そう聞きたいのに、聞けずにいた。
その想いは、国王様が寝静まった後に涙となって零れていった。
"世継ぎの子を成す"
それすらも出来ないまま、私はこの国の王妃としてただただ毎日を過ごしているだけ。
それは私にとって、とても心苦しく辛いものだった。