こくおうさまのすきなひと

「まあ、まだ正式な結婚式を行っている訳ではありませんからね……。少しは大目に見ましょう。ですが、早々に何とかしないとそんな状態では夜会でしっかりとエスコートが出来るのかどうか……」


「夜会?」


「ええ。来週にミネア王妃のお披露目を兼ねた夜会がございます。この国の貴族を招いた夜会です。そこでしっかりと仲睦まじい二人を貴族達に見せておかないといけませんよ」


なんと、来週とは……。

それまでにミネアとの距離を、少しでも縮めておかねばいけないという事か……。


「……分かった。ミネアには伝えたのか?」

「いえ。それはまだ」

「では、私から伝えておこう。少しでも距離を縮める為の材料が欲しい」

「承知致しました」


話がちょうど途切れたタイミングで、部屋の扉を叩く音が鳴った。

その音に、ロバートが対応する。


「誰だ?」

「第一騎士団、団長のアグニスでございます。急なお話がございます」


「分かりました、入りなさい」


ロバートの言葉を受けて、扉が勢いよく開かれた。

アグニスは私達に扉の前で一礼をすると、きっちりと扉を閉め近くへとやって来る。

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