こくおうさまのすきなひと
「フライム軍の動向について動きがありました」
「よい。話せ」
「はっ。どうやらアーネストとの国境付近に軍備を配置しているとの情報です。極秘にフライムへと入国し、密偵を行う兵士より受けた報告ですので、この情報は間違いないと思われます」
「ほう……。ついに動き出したか」
「はい。アーネストがアーハイムと同盟を組んだ事が知れたのでしょう。こちらが本格的に動き出す前に攻撃を仕掛けるつもりではないかと、そう推測しておりますが」
随分と情報が伝わるのが早いものだ。
やはり色々な国に争いを仕掛けてきた国なだけはある。
しかし、こちらも負けてはいない。
既に策は練ってある。
後は行動に移すだけだ。
アーネストと同盟を組んだ以上、アーネストをフライムに滅ぼされる訳にはいかないのだ。
「分かった。ではこちらも軍を配置せよ。アーハイムの軍と合流し、その時に備えるのだ」
「承知致しました。先行で何人かの騎士達は既に国境付近へと向かっておりますが、只今より第一騎士団と、第二騎士団の全団を招集し、アーネストへと向かいます」
「ああ、そうしてくれ。なお、準備が出来次第、輜重(しちょう)団も向かわせよう」
「ありがとうございます。では、行って参ります」
アグニスは私に向かって敬礼をし、そしてまた一礼をすると足早に部屋を出た。