こくおうさまのすきなひと

まさか私の知らぬ間にそんな話が進んでいたとは。



私も馬鹿ではない。

国の為に、自分の思いなど度外視にして動かなければならないことは、十分に理解している。



しかし、だ。

私も人間である。



結婚するのはいいにしても、それなりの順番ってものがあるだろう。

それをもう結婚とは、いきなり過ぎないか!?



「なぜそんな話があるにも関わらず、まず先に私に言わないんだ」


「ですから、今報告しているのです。この話が来たのは先週の事。そしてそれを受けようと判断したのは私です。事後報告になってしまったのは申し訳ないと思いますが、アルス様は国王になられてまだ日が浅い。まだ状況も分からないでしょうから、私が代理で返答しておいたのです。その話を快く受ける、と」


「なぜ勝手な事をする!」


「前国王であれば、間違いなくこの話を直ぐに受けたでしょうね。私は前国王の意思を引き継いだまでです。いいですか?アルス様。時には状況を見て判断しなければならない事もある。順序立てて呑気にやっている場合ではないのですよ。アーネストがフライムの一部となれば、それこそ我が国も立場が危うくなる。間違いなくこの国に戦争を仕掛けてくるでしょう」



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