こくおうさまのすきなひと
――コンコン。

扉を叩くなり、扉が勢いよく開く。

まるで来るのを待っていたかのように、声も掛けずに扉は開かれた。


「国王様!……お待ちしておりました。国王様がいらっしゃらなければ、こちらから出向こうと思っていた所だったのです。突然の騒がしさ、一体何があったのでしょう?」


ただならぬ表情を浮かべ私にそう話すのは、ミネアと共にこの国に来た侍女のティア。

私はティアを安心させるように、なるべく冷静に淡々と話す。


「落ち着きなさい、ティア。私達もその事について話をしようと来たのだ。ミネアは何をしている?部屋に入っても問題はないか?」


「ええ、問題ございません、どうぞお入り下さいませ。この騒ぎで王妃様も大変不安にされておりますので、是非ともお聞かせ下さい」


そう言って、ティアは私達を部屋の中へと案内する。

ミネアは窓の外を眺めていたが、私達が部屋の中に入るとすぐに振り向き、私の元へとやって来た。


とても不安そうな表情。

しかし、不覚にもその表情にドキリとしてしまう。


「アルス様……!この騒ぎはどうなさったのですか?もしやこの国で争い事が……!」

「ミネア、そなたもどうか落ち着いて。今から話をする。どうか落ち着いた心で聞いて欲しい」

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