こくおうさまのすきなひと
「フライムが……!?そんな……!!」

「落ち着け、ミネア。だがこちらもそれに対抗すべく、アーネストへと軍を送る事になった。この騒ぎはその為。今すぐ争いが始まるという事ではない。そこについては安心して欲しい。既にアーハイム側は自国の軍を集結させている事だろうと思う。それに加わる形で、こちらも応戦する」


「その争いは、いつ……?」


「さあ、それは分からない。今日明日ではないだろうが、配置だけされ争いが起きない、とはならないと思う。こちらも国境付近に軍を集結させたと、フレイム側が分かればいつ始まってもおかしくはない」

私はこれ以上ミネアが取り乱さないよう、なるべく冷静に話した。


まだ争いは始まっていないという事に、ミネアは少しホッとしたようだったが、それでも危機的状況である事には変わらない。


その表情には、ハッキリと不安の表情が現れていた。


ミネアはカップに手を掛けた。

手が小刻みに震え、カタカタとカップが音を鳴らす。


ミネアの心配は、計り知れないものだろう。

生を受け、育った国。

自分の愛する国が、いつ争いに巻き込まれてもおかしくない状況にある。

そう考えたら、不安に思わない方がおかしい。



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