こくおうさまのすきなひと

「このドレスは国王様が王妃の為に作らせた、特別なドレスなのですよ」



ドレスを着せながら、ひとりの侍女が話す。

まさか国王様自らそのような行動をしていたとは露知らず、とても驚いてしまった。


「いつの間に!?知らなかったわ」


「王妃様がこの国にいらっしゃって2日後くらいでしょうか、とびきりの物を作る様にと職人に命ぜられまして。一昨日仕上がったばかりの物でございます」


「そうだったの……。なんだか申し訳ないわ」


「さあ、出来ましたよ。……ああ、やっぱりお似合いですね」


後ろでリボンを結び終えると、侍女は私を鏡に映しながら言った。

私もまた鏡に映るドレスの美しさに、思わず見とれてしまう。


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