ブルー・ワルツ
ああ、やっぱり。
今までも何度か感じていた
彼はきっと人への執着が極端にうすい。
私も似たような人間だと思っていたけれど
意外とそうでもなかったみたい
彼の誰にもとらわれない
さらさらと砂が手からこぼれ落ちていくような存在に無性に寂しさを覚えたのだから。
『水野ちゃん』『次ってなに』
とつぜん、脈絡なく話し出す彼のくせ。
「生物だよ」
そしてそれに抵抗なく返答するわたし。
『おお。そっか、ありがと』
「いーえ」
『ねえ。ついでによかったら課題んとこ見してほしいんだけど』
「全然ついでじゃないよね。頑張って」
『いやぁ、そこんとこなんとか』『ね?』
「毎回だけどね。やっぱりわたし夏川くんを甘やかしすぎだとおもうの。」
『なんか水野ちゃん最近厳しくね?昔はなーんかほわほわしてたのに』
「夏川くんに言われたくないよ。ほわほわの第一線を走るひとに」
なーんて。
千早くんとわたしの関係は結構近づいたんだとおもう。この頃から特に。
近づいたっていうのはあくまでただのクラスメイトからよく話すお友だちに昇格したってだけで
お色気の話なんて全くないし、正直わたしはそんなのどうでもいいって思ってた
これほんと。
それよりも千早くんと喋ったりするのがとても新鮮でたのしくて。
友達っていいなって柄にもなくそう思った。