【完】『轍─わだち─』
大輔は言う。
「だからさくらが気にすることじゃない」
それより、と大輔は、
「むしろ、さくらの気持ちが変わらないかどうかの方が気になる」
「…ばか」
さくらは大輔の胸板に頬を寄せ、小さく微笑んだ。
「…変わる訳ないじゃない」
「…ありがと」
大輔はさくらの唇を唇で塞いだ。
「相変わらず、さくらって綺麗な目してるのな」
ちょっと気障ったらしい面も、さくらは嫌いではない。
再び唇を塞いだ。
その唇が、次は耳たぶをやわらかく挟んで、首筋を走って行く。
ベッドの中でさくらに見せる大輔の優しい行為も、さくらは嫌いではなかった。