【完】『轍─わだち─』


それからほどなくして。

つばさの事務所に、週刊誌の編集部から電話がかかってきた。

「今度の最新号におたくの森島つばささんの記事が出ます」

というような内容で、事務所のスタッフが訊ねると、

「森島さんが婚約したって情報は間違いないと思いますが、その婚約者の男性が失踪したって記事なんですけど」

との話で、どうやらどこかから情報が漏洩したようであった。

真っ先に情報を漏らした犯人として、パーティーにも顔を出していたまりあが疑われたが、

「私がバラして何か私にメリットある? メリットもないのに、私が言う訳ないじゃない」

と否定した。

事実。

週刊誌の発売日の前日ながら周囲を確認したものの、まりあが漏らした形跡はない。

詳細が分かったのは記事の中身からで、馬車道の店の関係者であるらしいといったことまでが判明した。



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