【完】『轍─わだち─』
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その頃。
わざとつばさは仕事を増やした。
とにかく。
現実から逃避するように、撮影と収録に没頭するようになっていたのである。
そのため。
まりあをはじめ仲間たちと会食をする機会も減った。
「まるで高校生みたい」
とマネージャーが言ったほど、二人でファミレスで簡単に済ます…といった夜が増えたのは、いうまでもない。
果たして。
露出が増えたので知名度は上がったが、彬の失踪で仕事が増えたように見えたのか、
──売名したから焼け太りだな。
と言われるほど、非難がましい声もあったのは、まぎれもない現実であった。