【完】『轍─わだち─』
若い実業家が探偵を雇って嗅ぎ回っている点が、特にネットの掲示板あたりでは袋叩きの対象になったようで、
「セレブは違うよな」
「ハリウッド並みのスキャンダルにしようとしてないか?」
「そこまでしてお金が欲しいもんなんだねー」
「これ、お家の乗っ取りだよね?」
などといった書き込みが並ぶようになった。
大輔は意に介さず、
「まぁネットはネットだから」
と一蹴していたが、探偵が調べた結果の報告書を読むと、大輔は顔が蒼白くなっていった。
隣にいたさくらが思わず、
「ねぇ大ちゃん、どうしたの?」
と訊いたが耳に声は届いてない様子で、頭を抱えたまま廊下へぼんやりと出てしまった。