【完】『轍─わだち─』
これほど対照的な二人があい見えたのは、ミスターキャンパスの日本一を決める全国大会の場であった。
全国の大学からそれぞれ代表が地区代表の決定戦を経て出てくる大会で、
「あそこからは金の卵が出る」
と言われ、俳優やモデル、アナウンサーなどを出す登竜門でもあった。
この中で。
東京一位通過の大輔は優勝の大本命である。
かたや関西で敗者復活戦から通過した耀一郎は、見た目の武骨さもあって、注目すらされない存在であった。
最終審査の日。
スーツ審査やマナー審査などで上回っていた大輔は、もはや優勝まで敵なしとされて、最終日の弁論を辞退する者まで現れる始末であった。
そうしたなか。
最後の弁論審査は始まった。