【完】『轍─わだち─』
ところで。
これらの騒動の渦中にあったつばさはというと、日本での活動がほとんど出来なかった間にロサンゼルスへ渡って、現地のドラマでの仕事が評価され、相続の話題でにぎやかだった時期は、オーディションで勝ち取った役で、映画を撮影していた。
ニュースのサイトで全貌を知ると、
「やっぱりなぁ」
とだけつぶやいて、手にあったスマートフォンをしまった。
しばらくは休んでいたが、そろそろ撮影が再開しそうな気配を察知すると、
「さ、マリー行こっか」
と、現地ですっかり仲良くなった女優と、現場へ戻るべく移動を始めたのであった。