【完】『轍─わだち─』
3
宴が、果てた。
帰りのタクシーで彬はすっかり酔いが回っていたらしく、
「うぅ…」
と何度も嘔吐しそうになったので、
「すいません、公園に寄っても大丈夫ですか?」
とつばさが介抱し、途中の公園のトイレで何とか始末をつけさせてから、青ざめた顔の彬を座席に押し込んで、再び弘明寺を目指した。
「…まったく、飲めないくせに強がるんだから」
つばさは半ばあきれ気味であったが、しょうがないなといった様子で袋を彬に手渡した。