嘘つきペテン師とマリーの恋事情
________

「・・・りー・・・」

ん…誰かの声が聞こえる…

「マリー・・・お・・・い」

…マリー…?どこかで聞いたことのある名前…

「マリー!起きなさーいっ!!」

「ひゃぁっ!!!」

耳元で叫ばれた為少し混乱気味に目を覚ました。

「何時だと思っているの!!?いい加減起きないとアルザス様の式典に間に合わないじゃないの!!早く支度なさい!」

そう言い残しマリーの部屋から勢いよく出て行ったこの女性はマリーの母親エミリだ。

「アルザス…様?・・・あー!」

マリーははっと思い出し勢いよくベッドから飛びてて身支度を整え始めた。
(そうだ…今日はアルザスが…アルザス様が帰ってくる日だった!!)

急いで身支度を済ませ家の前で不機嫌に待つ母エミリの元へ急いだ。

ここは大陸3大権力者により統一された国の1つマドガーゼルフという名の国。
他の三つの国と比べて気候は穏やかで緑が多く様々な種族が暮らしている。
他の国からは光の国とも呼ばれている。
その国を治めているのが現在国王のグリドフ・マドガーゼルフ。あらゆる魔力の使い手で他国の国王の中ではトップクラスの魔力の持ち主。大昔、龍が空をまだ飛んでいた時代に伝説の聖清光龍(聖なる龍)フィシータを己の魔力でその自身の力にしたという伝説がある。その力でこの緑豊かな国が統一されているという噂だ。
そして今日はその息子、つまり王子のアルザス・マドガーゼルフが他国との議会から帰ってくるのだ。

マリーとアルザスは実は幼なじみ。
城下町に住むマリーと国の王子がなぜ幼なじみなのかはまた後ほどお話しましょう。

マリーとエミリは式典が開かれる大聖堂セイントシングへ向かう。

「凄い賑わいだね。前とは全然違う雰囲気だね。」

ワクワクしながらエミリに話す。

「そうね。まぁ、今日は特別な日にもなるからかしらね。他国からの訪問者も多いみたいよ。ほらっ。」

エミリの視線をマリーは追いかけた。
その先にはこの国では見かけない格好をしている人や半獣人、魔族達が肩を並べ歩いていた。
沢山の人々が向かう先は大聖堂セイントシング。街のシンボルで、聖なる歌を意味する神聖な聖堂だ。聖堂の真上には3つの大きな鐘が浮かんでいる。他国の者からしては珍しく、観光スポットとしても有名な場所だ。

前へ進むにつれてだんだん混雑してきた。
前へ進みたくても進めない…。

「やっぱり凄い数ねっ。はぐれないようにねマリーっ。」
周りに押されながらエミリが言う。
「う、うんっ。」
それに対してマリーも周りに流されないように踏ん張りながら答える。
今身体の力を抜いてしまったら周りに流されて潰されかねない…。
足に力を入れてマリーは耐える。
本当ならもう少し前に行きたいところだがこれ以上は人で埋め尽くされていて進めない。

(う〜もう少し前に行きたいなぁ…)












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