不確かなもの
1
とてもとても深いところで僕と彼女は待ち合わせをした。別に時間を指定していたわけじゃないから、お互いが来たい時に来よう。って約束をしたんだ。その日はとても夕陽がキレイで、僕は夕陽の下で待ち合わせをしよう。って言ったんだ。けれど彼女は来なかった。当たり前の話さ。だって、夕陽の下なんて場所は存在しないんだから。歩けども、歩けども夕陽は僕らの真上ではなくて正面に位置してるんだ。けどね、依舞。僕は辿り着いたんだよ。夕陽の真下に。その場所に来たら、君はびっくりして歩けなくなってしまうかもね。でもだいじょぶだよ。もう僕は君の足になる決意はできているんだ。