君への轍
あけりは、ずっと年相応のワガママを封印してきた。
だったら、俺が……これから、俺が……めいっぱい甘やかして、かわいがって……幸せに、ワガママを言える子にしてやりたい。
薫は知らなかったが、それは、継父の抱いていた想いに近かった。
「シンガポールなら、聡くん、詳しいね。」
玄関先まで見送りに出たあけりが、ぽつりとそうつぶやいた。
「ああ、そういやそうだな。メールして、店とか、土産とか……おススメ、聞いてみるか。……あけりちゃんも、お土産、何が欲しいか、考えといて。教えて。」
そう言って、薫はあけりの両手を握った。
「……何もいらないから……無事に帰ってきて。……しょーりさんを、よろしくお願いします。」
頬を染めてるあけりが、たまらなくかわいくって……。
「俺があげたいの。何もかも。」
そう言って、薫はあけりを抱きしめた。
あけりは明確な言葉では答えなかったけれど……、その吐息が甘く震えていた。
かわいい。
かわいすぎて、たまらない。
このまま……抱きたい……。
……やばっ。
薫の中の雄の部分が、反応してきた。
慌てて、薫はあけりを手放した。
そして、まだ夢見心地の顔を上げたあけりの唇に、貪るように口づけた。
**************
薫のいない日々が始まった。
あけりは、淡々と授業をこなし、週2回の部活に顔を出し、夜は自宅で予習復習に余念がなかった。
薫と出会う前の日常に戻っただけ。
……ううん、部活がある分、あの頃より、ずっと楽しい。
なのに……どうして、心にぽっかりと穴が空いてるんだろう。
「あけり先輩!昨日届いたんです。黒いロードスター。薫さんにお礼の電話したんですけど……」
1週間後、嘉暎子が首を傾げた。
「あー、うん。先週から、シンガポールにいてはる。ずっと師匠と一緒にいはるから、電話の電源切ってはるねん。……ごめんね。今度、電話かかってきたら、伝えるね。」
あけりは苦笑して、そう言った。
だったら、俺が……これから、俺が……めいっぱい甘やかして、かわいがって……幸せに、ワガママを言える子にしてやりたい。
薫は知らなかったが、それは、継父の抱いていた想いに近かった。
「シンガポールなら、聡くん、詳しいね。」
玄関先まで見送りに出たあけりが、ぽつりとそうつぶやいた。
「ああ、そういやそうだな。メールして、店とか、土産とか……おススメ、聞いてみるか。……あけりちゃんも、お土産、何が欲しいか、考えといて。教えて。」
そう言って、薫はあけりの両手を握った。
「……何もいらないから……無事に帰ってきて。……しょーりさんを、よろしくお願いします。」
頬を染めてるあけりが、たまらなくかわいくって……。
「俺があげたいの。何もかも。」
そう言って、薫はあけりを抱きしめた。
あけりは明確な言葉では答えなかったけれど……、その吐息が甘く震えていた。
かわいい。
かわいすぎて、たまらない。
このまま……抱きたい……。
……やばっ。
薫の中の雄の部分が、反応してきた。
慌てて、薫はあけりを手放した。
そして、まだ夢見心地の顔を上げたあけりの唇に、貪るように口づけた。
**************
薫のいない日々が始まった。
あけりは、淡々と授業をこなし、週2回の部活に顔を出し、夜は自宅で予習復習に余念がなかった。
薫と出会う前の日常に戻っただけ。
……ううん、部活がある分、あの頃より、ずっと楽しい。
なのに……どうして、心にぽっかりと穴が空いてるんだろう。
「あけり先輩!昨日届いたんです。黒いロードスター。薫さんにお礼の電話したんですけど……」
1週間後、嘉暎子が首を傾げた。
「あー、うん。先週から、シンガポールにいてはる。ずっと師匠と一緒にいはるから、電話の電源切ってはるねん。……ごめんね。今度、電話かかってきたら、伝えるね。」
あけりは苦笑して、そう言った。