君への轍
聡は、苦笑した。
「愚問。師匠は頭で総流ししてたよ。100円ずつやけど。……まあ……師匠の後ろに付いた京都の2人が1着3着なんだし……悪くないんじゃない?」
「……薫さん自身は8着だったのにね……。」
あけりは、ついついため息をついた。
結局、あけりは2日間に3箇レースの車券を買って、1つも的中しなかった。
でも、聡は、いくつも的中させたらしく、喜色満面だった……。
「とりあえず、しょーりさんが1着で終わってよかったよ。」
「うん。よかった……。」
あけりはそう同調したけれど、これからのことを考えて緊張してきた。
手先が冷たい……。
あけりは、両手をこすって血流を良くしようとした。
聡は、その手を自分の手で包み込んで、温めてあげたい……と、本気で思ったけれども、我慢した。
京都駅から近鉄で奈良へ向かい、西大寺で降りた。
「駅に迎えに来てくださるらしいよ……あ……アレ?」
見れば、ロータリーに薫の黒いエルグランドが停まっていた。
「え……薫さん、いるの?」
思わず、あけりの足が止まった。
「……ん~~~?……いや、しょーりさんだけっぽいかな。」
聡はそう言ったけれど……あけりはそのまま立ちすくんでしまった……。
……まあ……無理もないか……。
ずっと恋い焦がれて止まなかったヒトに再会するんだもんな……。
「ちょっと待ってて。」
聡はあけりにそう言い置いて、小走りで泉の乗るエルグランドへと走った。
泉は聡を見つけて、窓を下ろした。
「しょーりさん!こんにちは!東口聡です!宮杯、お疲れ様でした!今日は、お疲れのところ、すみません!」
敢えて、初対面なのに「泉さん」と呼ばずに「しょーりさん」と呼んでみた。
以前あけりの言ってたように、泉は特に気を悪くする様子もなく、むしろ片頬を上げてうっすら笑った。
「……まあ、乗り。」
泉は、それだけ言って、ドアロックを解除した。
「はい!ありがとうございます!……あの……もう1人いるんですけど、いいですか?昨日と一昨日、一緒に、しょーりさんを応援してたんです。」
「……ふーん。彼女け?ええで。」
ニヤリと、泉が笑った。
「愚問。師匠は頭で総流ししてたよ。100円ずつやけど。……まあ……師匠の後ろに付いた京都の2人が1着3着なんだし……悪くないんじゃない?」
「……薫さん自身は8着だったのにね……。」
あけりは、ついついため息をついた。
結局、あけりは2日間に3箇レースの車券を買って、1つも的中しなかった。
でも、聡は、いくつも的中させたらしく、喜色満面だった……。
「とりあえず、しょーりさんが1着で終わってよかったよ。」
「うん。よかった……。」
あけりはそう同調したけれど、これからのことを考えて緊張してきた。
手先が冷たい……。
あけりは、両手をこすって血流を良くしようとした。
聡は、その手を自分の手で包み込んで、温めてあげたい……と、本気で思ったけれども、我慢した。
京都駅から近鉄で奈良へ向かい、西大寺で降りた。
「駅に迎えに来てくださるらしいよ……あ……アレ?」
見れば、ロータリーに薫の黒いエルグランドが停まっていた。
「え……薫さん、いるの?」
思わず、あけりの足が止まった。
「……ん~~~?……いや、しょーりさんだけっぽいかな。」
聡はそう言ったけれど……あけりはそのまま立ちすくんでしまった……。
……まあ……無理もないか……。
ずっと恋い焦がれて止まなかったヒトに再会するんだもんな……。
「ちょっと待ってて。」
聡はあけりにそう言い置いて、小走りで泉の乗るエルグランドへと走った。
泉は聡を見つけて、窓を下ろした。
「しょーりさん!こんにちは!東口聡です!宮杯、お疲れ様でした!今日は、お疲れのところ、すみません!」
敢えて、初対面なのに「泉さん」と呼ばずに「しょーりさん」と呼んでみた。
以前あけりの言ってたように、泉は特に気を悪くする様子もなく、むしろ片頬を上げてうっすら笑った。
「……まあ、乗り。」
泉は、それだけ言って、ドアロックを解除した。
「はい!ありがとうございます!……あの……もう1人いるんですけど、いいですか?昨日と一昨日、一緒に、しょーりさんを応援してたんです。」
「……ふーん。彼女け?ええで。」
ニヤリと、泉が笑った。