想いの境界線
学校へ行く時間になり、二人で玄関に向かう。靴を履きながら、先程の会話を蒸し返す。


「そういえば、何で天誅されたの、俺?」


眠れる森の美女を反対バージョンで言ったことがおかしいこと…まぁ、俺の願望でそう言ってしまったんだから、さすがにそれは天誅に値するわな…


「遥斗が王子様だとして、私がお姫様には当てはまらないし、そんな器じゃない…それに…」


既に七緒の意見に反論したい気持ちが芽生えていたが、その先の言葉が気になり、


「それに?」と、促す。


少し頬を朱に染める七緒の顔を見ながら『可愛いなぁ」なんて思っていると、


「幼馴染みなんだから…キ、キスで起こすとか…有り得ないし…」


そういう七緒の言葉は、俺の中では範囲内だった。
自分を抑えることを止めた俺は、再三七緒にちょっかい掛けては
『幼馴染みなんだから』の一言ではね除けられていた。


幼馴染みを強調する七緒の気持ちも、ずっと見てきたから分かるよ…
俺達のこと大事に思ってくれているんだって…
それでも、俺は壊したいんだ。


幼馴染みの壁を─
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