想いの境界線
だから七緒を困らせるって分かった上で、素の俺で七緒にしか向けない笑顔で…七緒が俺を意識してくれるように行動起こすよ…


「俺が王子様なら、俺にとってのお姫様は七緒しかいないよ。確かに俺達は幼馴染みだけど…その前に、男と女だよ…だけら、有り得ないことはないと、俺は思ってる…」


そう言って俺は右手の人指し指の先を七緒の唇に押し当てる。
思っていた以上に柔らかいその感触に、理性の箍が外れそうになるのを抑えて、その指を自分の唇に当てる。


「…なっ…⁉」


言葉にならない声を発したと同時に、七緒の顔が赤くなっていくのを見ながら、


「今日はこれで我慢してあげるね」


指先に残る七緒の唇の感触…
本当に触れたいのは、指なんかじゃないんだよ…


指だけじゃ足りない…


─七緒にキスしたい─


なんて、もうずっと何年も前から焦がれてるんだよ…


七緒…幼馴染みとしての俺じゃなく


一人の男として俺を見て…
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