想いの境界線
【side 陸斗】


いつもの時間、いつものように朝練にはかなり早い時刻に家を出る。


最小限の音にも注意しながら、隣の部屋で寝ているであろう遥斗を起こさないように…


朝練には充分に間に合う時間…
徒歩20分で余裕で学校に着いてしまう。


この持て余す時間を、
遠回りしてロードワークに勤しむ。


基礎体力は、この半年でかなり上がった。


バスケの試合には有利だが、体力作りのための行動じゃない…


俺の意図なんて…
遥斗には気付かれているんだろうな…


遥斗が退部したこと…
その頃から俺達の様子がおかしいこと…
よそよそしくなった兄弟のことを…
幼馴染みの七緒が気付かないはずがない。
心配かけてること…
分かってるよ…分かってるけど、


こうなってしまった理由を、伝える勇気は俺にはない。
原因を作った張本人のくせに…


あの日…
遥斗が俺に初めて向けた、冷たい眼差し…


同じように、七緒にもそう見られることが


怖くて仕方ないんだ…
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