想いの境界線
【side 七緒】


通学中──
いつも通り、女の子からの熱い視線が
遥斗に向けられているのが、横を歩いている私にも分かるのに、等の本人は気にせずに受け流している。
そんなことを考えていたら、後ろから声を掛けられる。


「…あ…あのっ‼」


遥斗と同時に振り向くと、他校の制服を着ためちゃめちゃ可愛い女の子が、真っ赤な顔で遥斗を見つめている。


もしかしなくても、これは…


「私…星華女子の藤崎 麻耶っていいます。
西校の宮世 遥斗くんですよね?」


「…そうだけど…」


あ…遥斗が無表情になった。
不機嫌丸出しだけど、相手には伝わっていないみたい。


「あのっ…突然ごめんねっ‼
少しだけ話聞いて欲しくて。
出来れば、ふたりで話したいの」


そう言ってちらっと私に視線を向ける。


そりゃそうだよね、
告白に他の女子同伴なんて嫌だろうし…


「あ…遥斗、私先に「悪いけどぉ、今通学な
んだよねぇ。君もだろうけど~」


私の言葉に被せてそういう遥斗。
更には、一歩前に進みかけた私の腕を、
軽く掴んで動きを封じる。


「…い、今が駄目なら今日の放課後、時間
作って貰えないかな?」


「そうまでして話聞く義理はぁ、俺にはな
いと思うけどぉ」


一刀両断の遥斗の言葉に、
うっすら涙が浮かんでいる様子が見える。
話し掛けるのも、告白するのも…
きっと凄く勇気がいるよね。


「…遥斗…」


私が呼び掛けると、


「はぁー…」


と、深く溜め息をする遥斗。
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