想いの境界線
1 日常と非日常の狭間
【said 七緒】


自分の家の玄関の鍵を掛け、隣の家の玄関
の鍵を開ける。
物音1つしない家の中。
勝手知ったる何とかで目的地の二階の部屋へ進む。


ドアを思いきり開けながら


「遥斗、起きて‼」


と、かなり大声で呼び掛けても未だ夢の中のその人は起きる気配がない。


「もう…」


溜め息を吐きながらベットに近付く。
すーすー寝息を掻きながら幼い頃と変わらないあどけない寝顔を覗き込む。


「寝顔だけは変わらないのに…」


思わず呟いてしまった一言に自嘲し、掛け布団に手を掛ける。


「起きなさいって言ってるでしょうがっ‼」


「ななちゃん、もうちょっと優しく起こしてくれてもイイんじゃない?」
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