想いの境界線
朝食の片付けを済ませ、身支度を整え二人で玄関に向かう。
遥斗が靴を履き終え、こちらを振り向く。


「そういえば、何で天誅されたの、俺?」


靴を履こうと一歩踏み出しかけた足が止まる。


「色々間違ってたから。お姫様が王子様のキスで目覚める物語はあるけど、逆バージョンなんて知らないし…」


「まぁ、そうだよね~俺が勝手に作った話だしぃ~」


悪びれもせずに、へらへら笑う遥斗を見て溜め息を吐く。


小学校の頃から幼馴染みの二人は、それはもうアイドル的にもてはやされていた。
外見は勿論のことだけど、双子なのに全く違った内面性で人を引き付ける。特に女子からは絶大の人気度。
それこそ、王子様的存在で間違いないだろうけど…


「遥斗が王子様だとして、私がお姫様には当てはまらないし、そんな器じゃない…それに…」


「それに?」


一端言葉を切った私にその先を遥斗は促す。


「幼馴染みなんだから…キ、キスで起こすとか…有り得ないし…」


改めてそう言った私の言葉に遥斗はふわりと微笑む。
< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop