想いの境界線
遥斗のあの間延びした普段の話し方は昔からで、私を『ななちゃん』と呼ぶのも子供の頃から変わらない。


でも、時々さっきみたいに…
遥斗が私の知ってる遥斗じゃないような言動の時は私のことを『七緒』と呼ぶ。


そんな態度をとるようになったのは、ちょうど半年前から…


陸斗と遥斗は一卵性で黙っていたら見分けがつかない。
クラスメイト達は二人の話し方や雰囲気で区別していた…


半年前に突然バスケを辞めて、外見を変えた遥斗…
私は少し…悲しかった。
悲しい…なんて思うのはお門違いだって分かってる。
それでも、家族と私以外は初見で区別出来ない二人を、見分けることが出来た幼馴染みとしての特権が無くなってしまった気がした…


外見を変えた遥斗に、私に対してさっきのような…思わず赤面してしまう態度をとられると、どう反応していいのか分からない。


普段と違う遥斗に困惑してしまう…


男とか、女とか意識させないで…


幼馴染みの遥斗でいてほしいって思うのは
私の我が儘なのかな…?
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