ほしの、おうじさま
大きく頷きながら田中さんの意見に賛同した後、斎藤さんは続けた。


「どれだけベテランになったとしても、むしろ勝手な判断、単独行動は厳禁なのよ。だから星さんも何か引っ掛かりを覚えたら、渡辺さんはもちろんのこと、必ず周りの誰かに相談してね」

「変な遠慮とかはいらないからね」

「皆で協力しあいながら頑張って行きましょ」

「はい。ありがとうございます」


本日のランチメンバーである、宣伝課の山本さんと鈴木さんも加わってのお心遣い溢れる言葉に感激しながら、私は先輩方に向けてそう返答した。

そんなこんなで和やかな昼食会が終了し、午後の業務へと突入する。


「じゃ、午前中にやってた処理を引き続き進めてもらおうかな。30分になったらオペレーター室に行くから、キリの良い所で中断できるように調整してね」

「はい」


渡辺さんの言葉通り、遅番の人のお昼休みである13時半から14時半の間、私達は再びオペレーター室に戻ることになっている。

必ず正社員が室内に待機しているのがルールなので、その間お留守番役を務めるのだ。

本来は早番のオペレーター室担当だった役職者が一人でその役を担う決まりで、今日の場合は渡辺さんがそれに該当するのだけれど、彼にマンツーマンで指導を受けている間は私もセットでその任務に就くという訳だ。
< 136 / 241 >

この作品をシェア

pagetop