ほしの、おうじさま
そうこうしているうちに瞬く間に半近くになったので、作業を中断し、渡辺さんと共にオペレーター室へと移動した。

遅番の方から業務を引き継ぎ、それを黙々とこなしていく。


「ただいま戻りました」

「ありがとうございます」


あっという間に時間は過ぎ去り、14時半ちょっと前、オペレーター室当番である大塚さんと、少し遅れて高橋さんがそれぞれそう口にしながら室内に戻って来た。


「ちょうど良かった高橋さん。例のやつ、あちらさんから回答が来ましたよ」


役職者用のデスクに腰掛けていた渡辺さんがPCを操作しながら声を張り上げる。


「ん?どれ?」

「渋谷○○店の案件です。お客様からのクレームを受けて、当日勤務していたスタッフに事実確認をしていたけど中々報告が上がって来なくて、高橋さんが再度催促しましたよね」


渡辺さんは至近距離まで近付いて来た高橋さんに画面を見せながら解説を進めた。

おそらく相手からのメールが表示されているのだと思われる。

お客様からのお問い合わせには、その場ですぐにお答えし、ご納得いただけるものもあれば、関係者への聞き取り調査が必要だったり、更には上層部に対応の指示を求めなくてはいけないものがあったりする。

そのような、現在調査中で未解決の案件は専用フォルダに登録されていて、ミーティングで随時「現時点での未処理件数は〇件」とアナウンスされるし、各自そのデータをチェックをしておくのが義務付けられていた。
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