ほしの、おうじさま
☆☆☆☆
一夜明け、迎えた土曜日は0to0に入社して三度目の週休初日。
心底待ち焦がれていた貴重な休息日だ。

いくら恵まれた環境であるとはいえ、新社会人生活というものはやはり緊張の連続で、一週間乗り切った時点でもうすっかり疲労困憊である。
だから土、日の休みで充分に鋭気を養っておかないと。

これでもし高校生の時のバイト先みたいな職場に就職してしまっていたら一体どうなっていたのだろうか…と考えると、すこぶるゾッとする。
それこそメンタルが壊れてしまっていたかもしれない。
つくづく、超優良企業である0to0に潜り込めたのは人生で最大の幸運であったと、幸せを噛み締める私なのであった。

とにかくせっかくの休日なのだから楽しまなければと、勢い良くベッドから抜け出し、洗面所で身なりを整えてから普段よりも遅めの朝食を摂った。
しかしその後、平日にはできない大がかりな掃除や洗濯、おかずの作り置きやその為の買い出し、合間合間に食事やお茶休憩や、友人家族への電話やメールでの近況報告なんかをしていたら、二日間のお休みなど瞬く間に過ぎ去って行き。
気が付けば月曜日の朝で、鳴り響く目覚まし時計のベルにより私はその事実を認識した。
スイッチを切りながら思わずベッドの中でため息。

土曜日の朝、『今日から連休だ♪』なんてはしゃいでいたあの瞬間から、光の速さで時間が経過してしまった。

……でも、まぁ、仕方がないよね…。
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