ほしの、おうじさま
生きて行く為には働いてお金を稼がなくちゃいけないんだから。
今はまだペース配分が掴めていないから休日を有効活用できていないけれど、一人暮らしに慣れてくれば余暇の楽しみ方も分かるようになってくるだろうし。
それまではただひたすら、日々のノルマをコツコツと消化して行くのみ。

そう自分自身に言い聞かせ、『ヨシ』と気合いを入れながら起き上がりベッドから抜け出すと、出勤の準備を始めた。
それから約2時間半後、無事に会社に到着する。

今日は例のお茶当番である為、いつもよりも若干早くアパートを出て来た。
朝の段階で、人数に応じた数、各課に支給されている電気ポットに水を入れて沸騰させておくという任務があるのだ。
その他にも10時と15時のお茶休憩時、お昼休みのタイミングで、中身の補充をする決まりになっていた。

更衣室のロッカーにコートと荷物を置き、就業中必要でなおかつ持ち込み可な物だけが詰められたトートバッグを手にすると、5階に降りてまずは給湯室へと向かった。
カウンターに並べられているポットの中から「マーケティング課」と印字してあるシールが貼られた物をピックアップし、流し台で水を入れて再び元の位置に戻してコンセントに繋ぐ。
そしてポットちゃんの上部にある沸騰ボタンをオン。

この操作については女性の先輩に事前に教えてもらっていたので何ら迷うことなくできた。
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