ほしの、おうじさま
彼が熱い眼差しでジッと私を見つめ返して来たから。

「え?ど、どうかした?」

「……良いよね、星さんて」

動揺を隠し、精一杯明るめの口調で質問した私に星野君は語り出す。

「性格の良さが全面に滲み出ているというか…。話していてとても気持ちが良いし、心癒されるよ。きっとご両親に愛情たっぷりに、大切に育てられたんだろうね」

「え?い、いや、そんな」

「あの一次面接の時、率先して僕のフォローをしてくれた時から感じていた事だけど、何度か話をしてみてやっぱり星さんは素晴らしい人だったな、としみじみ思う」

「!お、覚えてたの?」

「もちろんだよ」

星野君は再び笑顔を浮かべ、力強く答えた。

「とても印象的な出来事だったから」

う、嘘みたい。

私はぽ~っとなりながら星野君の言葉を受け止めた。
他の人達はともかく、私の事なんて、真っ先に、キレイさっぱり忘れ去ってると思ってたのに。

「祖父が祖母に惹かれたのも納得だ。やはり日本の女性…大和撫子は、素晴らしい心根の持ち主が多い」

「……ん?」

感動にうち震え、脳内に咲き誇るお花畑の中を駈け巡っていた私だったけれど、続いた星野君の話に大いに引っ掛かりを覚え、瞬時にこちら側へと戻って来た。

「『【日本の】女性は』って…まるで星野君はそうじゃないみたいな言い回しだね」

「うん。僕は純粋な日本人ではないから」

「えっ。そうだったの!?」
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