ほしの、おうじさま
「えと…。お祖父様は元々はどこの国の方なの?」

「…拠点としていたのはロンドンだけど、だからといってイギリス人という訳ではないんだ」

「え?」

「祖父の両親…つまり僕にとっての曾祖父母が世界をあちこち旅していて、その地が一番体に馴染んだから長期の住み処として選んだらしい。外見も一番似通っていたしね」

星野君の言い回しに何か違和感を覚えたものの、それがどこの部分なのかはとっさには判断できず。

「曾祖父母はひとまずそこに落ち着いたけれど、息子である祖父は成人したのを機に再び世界放浪の旅を始めて、そして日本にも立ち寄ったらしい。その後はさっき言った通りの流れ」

結局どこの国の人なのかは分からぬまま、話は進んで行った。
しかしそこを明かすのは抵抗があって、あえて触れなかった可能性が高いので、私もそれ以上は追求しなかった。

「で、祖父は祖母を守りつつ、一族の反対を押しきって結婚した訳だけど、彼らもすぐに祖母の素晴らしさに気が付き、あっさりと祝福ムードに切り替わったらしい。『生まれ育った環境の違いなんて、何のハンデにもならなかった。何も心配する必要などなかった』ってね」

「そっか…」

まるでドラマのような壮大なお話に、私は感嘆のため息を吐いた。
だって、ひいおじいちゃんの時代から世界各国を飛び回っていたなんて、星野君の家系ってどんだけグローバルでお金持ちなの?って話だよね。
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