ほしの、おうじさま
「祖父や父いわく、理屈じゃないらしいんだ。ある日突然『私が探していたのはこの人だ』と確信するらしい」

「そうなんだ。だけど…」

今さらながらにその事に気が付き、私は問いかける。

「そんな重要なお話を、私なんかが聞いちゃって良かったのかな?」

かなり深い部分まで内情を把握しちゃったけども。

「……君にだからこそ、聞いてもらいたかったんだ」

すると星野君はそれまでとは異なる声音、表情でそう言葉を返した。

「僕も感じたから」

その変化を目の当たりにし、私はまたもやドキリとする。

「僕が探していたのは星さんだったんだなって」

「……え?」

「惜しむらくは、何故もっと早い段階でアプローチをしなかったんだろうって事なんだけどね。初対面の時からもう気になっていたのに。そのせいで阿久津君に遅れを取ってしまった」

「へ!?」

「でも、君達はまだギリギリ恋人同士にはなっていないよね?だったら僕にも充分チャンスはあるハズだ」

「い、いやいや」

思いっきり的外れな意見に、私は変な声を出してしまった後、慌てて訂正した。

「何で阿久津君?彼には全く、一ミクロンも、そういう感情はないから。あっちもそうだと思うよ」

「え?そうなの?この前、何だかとても良い雰囲気だったから」

「それは星野君の大いなる勘違いです!」

「……だったら、問題は一つクリアしたって事だ」
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