ほしの、おうじさま
「う、うん。だから遅れて来るか、もしくは来られないかもしれない」

「分かった。じゃ、二人で進めていよう」

言いながら星野君は動き始めたので、私もそれに従った。
二人でもさほど時間はかからず準備は終わり、そのタイミングで私は彼に接近すると、おずおずと切り出す。

「えと、星野君…」

「ん?」

「さっきはごめんなさい。何か、色々と失礼な態度を取ってしまって」

我ながら今にも消え入りそうな声だ。

「すんごくお恥ずかしい話なんだけど、私、今回の訓練は本当に起こっている事だと思ってて…」

「あ、やっぱり?」

星野君はクスリと笑いながら言葉を発した。

「何かおかしいと思ってたんだよね」

「それと…。この前の返事も、今させていただきます」

そこで私は唐突に決断した。
言うなら一分一秒でも早い方が良いと思ったのだ。

「色々考えたけど、私、星野君とはお付き合いできません」

初めて会った時から恋い焦がれていて、ほんの数日前までその気持ちは持続していたのに。
まさかこんな結論を出す事になるなんて。

「……そっか」

星野君は「ふ~、」と深く息を吐き出してから囁いた。

「やっぱダメだったか」

「ごめんなさい…」

「頑張って妨害したのにな」
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